耽美なアンドロイドと悲劇の物語


アドベントカレンダー

こんにちは、fymartym です。社会人になってからは例年、東京ゲームショウのビジネスデイ 1 日目に足を運んでいたのですが、今年はコロナのこともありリアルイベントの開催がありませんでした。そんな中でオンラインのイベントとして開催されたゲームショウの各種コンテンツをしっかりチェックすることはできなかったのですが、ゲームショウにちなんだ各種タイトルのセールを PS Store でも行っていたので、ニーアオートマタを購入することにしました。買ったのは 9 月末で、実際にプレイし始めたのは 11 月の終わり頃でしたが……そんなわけで、今年触ったゲーム Advent Calendar 2020 の 20 日目はニーアオートマタをプレイした感想を書いていきます。

ニーアオートマタってどんなゲームなの

プレイする前の事前知識はこんなものでした。

DOD やニーアについては、「ストーリーに胸が痛くなる」とか「フレーバーテキストのひとつひとつがすごい」とか、結構暗くて重たい話が特徴的という評判があるなあという認識でいました。あとは、「突然わけのわからない音ゲーやシューティングゲームが挟まる」みたいな、その意見を一見しただけではどういうことだかわからないような不思議な要素が盛り込まれているらしい、というようなことも事前知識としてはありました。ユーザの想像や期待を(いろんな意味で)裏切る、結構奇を衒った感じのゲームデザインが特徴的なようです。あとはマルチエンディングの形式をとっていることも特色のひとつ。
ニーアオートマタは、とにかく主人公のキャラクターデザインがすごくて、白いボブヘア・黒い布で目隠し・口元にほくろ・太ももがむっちり・下着っぽいものがお尻に食い込んでるところもチラチラ見える、みたいな、いかにもキャッチーでセクシーな雰囲気が醸し出されていて、これまで一切プレイしていなかった自分でも「キャラの見た目と名前を知っている」ぐらいに鮮烈な造形をしています。基本的に白黒が基調になっているデザインなのがまたどことなく背徳感を覚えさせるというか、記憶に残りやすいデザインですよね。

で、実際プレイしてみて、へーそうだったのか、と思ったのが以下のような感じ。

このエッチなお姉さん(9B)たちって人間じゃなかったの! というところから驚いたりしました。9S も、操作切り替えとかはできるのかも、と思っていましたが、まさか主人公パートがあるとまでは思わず。さらにもう一人主人公的な役割のキャラクターがいるとは、まったく知りませんでした。公式サイト見ればキャラ紹介には載っているんだけど、見てなかったので……。
主人公は最初は 2B お姉さんなんですが、このゲームは周回前提になっており、2B のパートをクリアすると 9S, そしてさらに A2 を操作するパートも解放される……という感じになっています。
ちなみにゲームのボリュームとしては、fymartym のプレイではマルチエンディングの真 ED 的なところを解放するまででも 48 時間程度でした。サブクエストはいくつか残っていますし、トロフィーも埋めてないですが。ちなみにトロフィーは真 ED 解放後にゲーム内のお金で購入することができるので、頑張らなくてもトロコンはできるみたいです。

ここがよかったニーアオートマタ

バトル部分

とにかくアクションの操作性が気持ち良い!
射撃(遠距離攻撃)と近接攻撃の組み合わせで戦うことができるんですが、射撃ボタンを押しっぱなしにして射撃し続けながら近接をガシガシ当てていけるので、敵がたくさん湧いてきてもストレスなく、ほとんど何も考えることなくテキトーな入力でダメージを入れていくことができます。特に、高難易度にしなければエイムが有効なので、どこを向いていようがピョンピョン跳ね回っていようが射撃は当たり続ける、というのが爽快でいいです。
コントローラのコンフィグも割と自由に設定できるので、普段遊んでいる CoD にあわせて L2 エイムの R2 射撃という感じでセットして、L1 を回避、 R1 をスキルにした気がします。
ちなみにお気に入りの射撃はレーザーです。スキルはハンマーをよく使ってたかな。

チップを積むというシステムが楽しい

キャラクターがアンドロイドという設定上、武器以外のものは装備品ではなく「チップ」という概念でその能力を強化していくことになります。チップを積むための機体側の容量と各種チップが占有する容量を確認しながら、キャラクターにいろいろな機能を盛り込んだり能力を強化したりするのは結構楽しかったです。チップの合成とかも細々した作業になるんですが、こういうの好きですねえ。グランデイアのエッグ合成みたいな感じで。

オンライン要素がちょっとおもしろい

ゲーム中に必須の要素じゃないけど、オンライン有効だとおまけとして他プレイヤーの力を借りることができるというちょっとしたシステムがあって、これは結構面白いなと思いました。どこかのマップ上で死んだプレイヤーのデータを拾って、一時的に仲間にするか、リサイクル(?)みたいなことをするかどうかを選べます。仲間にしたときに強すぎてイベントボスが雑魚みたいになることもありました。
あと、物語を進めると、仲間にするつもりだったのに敵性化してしまうなんてこともあり、これも面白かったです。

美しくて悲しい音楽

廃墟となった地上、その雰囲気にマッチする音楽がいつも流れています。コーラスが入っていたりするのですが、ついつい一緒に鼻歌を口ずさみたくなるようなキャッチーさがまた最高です。マップがシームレスであるように、音楽もいい感じで切り替わります。人に話しかけるとコーラスが流れ始めたりとか、音楽周りの演出はとっても良かったです。
コーラスはいわゆる架空の言語で歌われることが多いようなのですが、イベントバトルに際しては、その戦闘の直前のイベントで使われた台詞が効果的に BGM の中に取り込まれたりしており、ゲームの言語設定を日英どちらにしているかでちょっと変わったりもしています。これも面白くていいですね。例えば以下のような感じでした。

9S かわいいよ 9S

単なるキャッチーな見た目だけでこの fymartym が釣られクマー
見た目もかわいいし、声もかわいいし(英語版やっていたので英語音声しか知りませんが)、台詞もかわいい。特に、最初にプレイするときは 2B が結構孤高な感じのキャラクターなので、プレイヤーとしてはなんだか寂しいのですが、その寂しさに寄り添うように慕ってついてきてくれる 9S が本当にかわいくて、守ってやらねばという庇護欲みたいなものが湧き上がってくるんですよね。


最初に、2B のセットアップを行ってくれる 9S。この演出は 2 周目の 9S パートにも活かされて、なかなかににくい演出です。


好奇心旺盛な機械生命体にたじたじの 9S。まるで人間みたいに感情豊かな 9S はかわいい。


とにかく喋り方がかわいい。

サブクエストがいい味出している

基本的にストーリーは暗くて悲しいし、やっぱりサブクエストも暗くて悲しいんですが、サブクエストだとボイスがないのでよりゾクっとするような感じがあるなと思いました。やっぱゲームって声がない方が好きだな。

つらかったところ・微妙なところ

一番最初のステージがセーブ不可で死んだら最初から

これつらかった。操作に慣れてないうちに放り込まれた最初のダンジョン、結構な長さがある上にイベントシーンもたくさん挟まってくるのですが、この最初のステージの攻略中はセーブをする箇所がありません。その上何回かボス戦があるのですが、死んだら最初からやり直し。つらすぎるのでボス戦前とかにセーブさせてほしかった。
ちなみにその「死」自体もマルチエンディングのうちのひとつに数えられるので、そういうゲームということを教える意味合いもあるのかもしれないです。ある意味負けイベントみたいな。でも負けたら最初からですが。
fymartym はつらすぎて死んでから難易度イージーに下げました。でも多分それもあまり関係なくて、とにかく「回避」ボタンを連打するのが大事っぽかったです。

ちなみにこの最初のステージはメインストーリーの終盤(?)というか、ストーリーを進めるにあたって再訪することがあるんですが、そのためにちょっと複雑なマップ構造になっているのでそれがまた「最初からやり直し」のストレスを増幅させているような気もします。でも、この最初のステージをある程度ストーリーが進んだ段階でまた攻略するっていう形は結構好きです。クロノクロスの古龍の塔とか思い出しました。流れてる音楽の緊迫感もちょうどいいんですよね。

メインストーリー

シリーズタイトルが前提知識として必要なのかもしれないんですが、「え? どういうこと?」と思う場面が多くて、あんまりよくわかりませんでした。真 ED を見たのですが、それをふまえても、2B の操作パートが一体なんだったのか未だによくわかってない。
あとは敵キャラとして、アダムとイヴっていうのがメイン敵っぽく据えられているんですが、彼らにまつわる大したイベントがあるわけでもなく、ただ単に美形で顔ありの敵キャラとして記憶に残るだけで、物語的にどういう役割を持っていたのかがいまいちわかりませんでした。顔ありの人間っぽい見た目のキャラというのが物語上ほとんどいないので、それだけでもかなりインパクトはあったのですが、でもこいつらなんなの? っていう疑問が残ったままです。

序盤のお遣い要素とマップの飽き

物語を進めていくとファストトラベルが解放されるのはこういうゲームのあるあるですが、それまでのお遣いがただただ作業で面白味がなかったです。ファストトラベル使えるようになったところで作業感が拭えるわけでもないんですが。
公式サイトを見るとオープンワールドゲーを謳っているニーアオートマタですが、マップは正直狭いです。覚えることが少ないのでそれはそれで快適ではあるのですが、似たような道を何度も通って、アクション操作でちょっとミスるとすごい落下して元の場所に戻るのが面倒なことに……とかなったり。進めるごとに近道とかを作っていけたり、新しい発見があったりすると面白いんじゃないかと思うんだけど、普通に代わり映えのない寂しいマップを淡々と進んでいくのみです。

アクションちょっとむずい

いまさっき書いたように、ミスると落下して元の位置に戻るのが面倒……みたいなことがあるんですが、結構シビアなマップだなと感じることもあります。ちなみに遠くのところに飛び移るには、「二段ジャンプ + 回避アクション」がセオリーなのですが、ジャンプ中に回避アクションを発動できることを 2B 編の間にはついぞ気付きませんでした。吊り橋の下に落下してのぼるときにどうしても登れず、もうむり、、と思って youtube で動画探しました。

あと、メインストーリーでは 2B がウイルスに侵されて動きが鈍くなるところがあるんですけど、そのときに飛び移りが要求される箇所があるんですよ。これが本当にストレスでした。動きが鈍くなって、確率でうまく走ったり飛ぶことができないことがあるうえに、ウイルスの侵入が時間経過とともに進んでいくので、それが 100 % になると普通にゲームオーバーになってしまう。その前に目的地にたどり着かないといけないわけなのですが、これが個人的にはめちゃくちゃシビアでした。操作キャラの動きが自分のプレイングスキル関係なく期待しない鈍さになるというのは単純にストレスですし、そのストレスフルな制限下のなかを耐え忍んで進んできたものを意図しない崖からの落下でぶち壊されるのは普通に不快ですよね。ウイルスに侵されたアンドロイドのしんどさに共感するためなのだとしても、その共感よりも面倒くささの方が勝りました。

そもそも周回前提というのが微妙

別にマルチエンディングなのはいいと思うし、「やり込んだ人がたどり着ける真 ED がある」というゲームシステムに対しても悪感情はないですが、このゲームは周回前提です! 話を理解するため、さらにやってください! みたいな姿勢は微妙だなーと思いました。周回って、大好きになったゲームをもっとたくさん遊びたいと思った時に自分からすすんでやるもので、作り手側から推奨されるようなものじゃないと思うんですよね。しかも RPG で。
2B 編の ED を迎えると「え? これで終わりなの?」という気持ちになるし、エンドロールのあとには以下のようなメッセージが表示されます。

個人的には、2B 編が終わったらそのままエンドロール行かずに 9S 編始めるとか、そもそも 2B と 9S の操作パートを並行で行えるようにするとか、他にもやりようがあったんじゃないかなと。すくなくとも 9S 編は 2B 編のストーリーを 9S 視点でやり直すところから始まるだけなので、「これが 2 周目」として始まるのは若干ストレスな気がしました。2B セットアップのシーンを 9S 視点で録画再生する形で見るのは結構面白かったんですけど、演出として面白かったのはそのぐらいかなあ。

真 ED のためのシューティングゲーム

脳死で続けていればクリアできる難易度になっているので別にいいんですが(※オンライン有効なことが前提)、演出があざとすぎて萎えました。奇を衒うのもいいし、オンライン要素を活かすという意味では面白い試みだと思うんですけど、BGM とかテキストとか何もかもあざとくて普通に冷めた。

あのかわいかった 9S が壊れていく

ゲームも後半になると 9S の情緒がぶっ壊れていき、それがつらいです。でもこれはこれで可愛いので OK です。


そのほか