アンチ王道と操作性の両立


アドベントカレンダー

こんにちは、fymartymです。今年触ったゲーム Advent Calendar 2019の9日目の日記です。

この秋、セールになっていたundertaleと、復刻したmoonを買いました。どちらもとても評判のいいゲームで、いつかやろうという風な気持ちをずっと持っていました。どちらも一風変わった世界観、独特なテキスト表現など、ストーリー面で好評を博しています。

疲労するゲーム

どちらも機敏に動くことができなくて、短期的な目的を果たすだけでも結構疲れる。

特にundertaleはしんどかった。最初の方は雰囲気を楽しむ余裕があったけど、徐々に一度の失敗によって繰り返さないといけない動作が重たく感じられてきた。なかでも戦闘の煩わしさが異常で、途中で投げた。戦闘を頑張ってこなしても成長が感じられないし、「シューティングの避けしぐさ」や「パターンの暗記」のスキルを研鑚して立ち向かうしかないように思える。雰囲気やストーリーだけをモチベーションにゲームを続けるには、操作性に快適さが足りなかった。ゲームシステム自体の独自性はストーリーありきで成り立っていると思われるので、そのシステム自体がとんでもなく面白いというものでもない。調べてみるとエンディングにパターンがあるみたいだったが、この苦行を繰り返してまで見たいかどうかは疑問だ。

ただ、うざいイヌのデザインが気に入ったので、TGS2019では帽子と靴下を買いました。

moonは、undertaleに影響を与えた元であるだけあって、確かに疲れるのだけれども、それを理由にして諦めるほどしんどいものでもない。グラフィックもいいし、音楽・環境音・SEも心地よい。期待していた通りにテキストは興味を惹く独特の世界観があって、操作性は難があるけれども遊ぶモチベーションを保つ要素が多くあった。ゲームオーバーに際してもそこで全てのやる気を失うことなく、「なるほど、次はこうすればいいかな。学習したぞ」と素直に受け止めることができる。最初は全然自由に動けずにもどかしい思いがあったが、「ラブ」を集めるごとに動ける時間が増えるので、わかりやすく成長を感じられた。自分のプレイスキル(失敗からの学び)だけではなく、これまでゲームを進行させてきたことによるレベルアップ(能力の底上げ)が、楽しさを加速させてくれていると思った。

2作を比較して、やっぱり元祖は強いし、undertaleはインディゲームだしな、という当たり前と言えば当たり前の感想に行き着いた。まず画面のリッチさからして大きな差があるが、単なる操作性の部分をとってもmoonの方がずっと優れていると感じた。画面がシンプルなundertaleの方が一見わかりやすいように思えるが、実際には不便さが目立った。その結果、「味のあるシンプルな画も売りのゲーム」というよりも「古くて融通の利かないゲーム」という印象になった。そして肝心の会話における演出ひとつとっても、moonには圧倒的に情緒がある。それでもundertaleの最序盤のドキッとさせられるような不気味さにはかなり期待を膨らませたのだが、それを持続させることはかなわなかった。世界観への没入や未知の展開へのワクワクを殺すほど、疲弊するゲームシステムだった。

王道ではない、ということは遊びづらさの免罪符ではないと思う。ゲームの世界観の表現はあくまで表層のものでしかなくて、それを支える低位のシステムは「ユーザを裏切らない」、ユーザに寄り添ったものであってほしい。物語でいくら裏切っても構わないから、他に類を見ない特殊なゲームシステムで意欲的に挑戦しても構わないから、快適に遊ぶことのできる土台だけは、王道であってほしい。

せめて、搭載してほしいもの

マップを歩いているときにダッシュできるようにしてほしい。